未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI(講談社)2016年6月


表紙イラスト 青山浩行さん

「世の中には、もうほとんどのものが開発されていて、
ぼくらが大人になっても、作るものなんてないよね」
ひとりの小学生が言った言葉です。
そうだよね、たしかに、君たちのまわりにあるのは、たくさんの完成品ばかり。
もう、これから作るものなんて、ないのかもしれません……ん?
いえ、ちょっと待って。まだまだ世の中には、ないものがたくさん。
でも、これがあったらいいなって思うもの、たくさんありますよね。

「人が想像できるものは、実現できる。」

そう言うじゃないですか。
大切なのは、想像する力。
そして、それをぜったいに作るという強い気持ち。
こどもにとって、大人は完璧な生き物(ぜんぜん、そうじゃないけれど)。
特に、大手企業でバリバリ仕事して、すごいクルマをたくさん作る会社の人たちは、
ものすごい存在(これは、そうだと思う!)。
だけど、そんなすごい人たちだって、やっぱり一人の人間で、
魔法のように、かんたんになんでも作れるわけじゃない。

世界初の量産型燃料電池自動車、MIRAI。
さいしょは、会社のなかでも「無理」と言われ、
研究をしていると「ただ飯食い」とまで言われた人たち。
試行錯誤の繰り返し。失敗の連続。いいものを作りたいと思うがゆえのぶつかりあい。
最後の最後に襲いかかってきた試練。

それでも、ぜったいに作る。
その思いが、MIRAIの完成、そして発売へとつながります。
デザインってどうやってカタチにするの? 色ってどうやって作るの? テストドライバーってなにするの?
名前はどうやって決めるの?  工場で作るまえにやることって?
そんなクルマづくりの「?」も、ちょっとだけわかると思います。

コンピュータの時代、AIの時代と言われるけれど、最後はやっぱり人間力。
私も取材を終えて、書き終えて、クルマがもっともっと好きになりました。