「青い鳥文庫ができるまで」(講談社)2012年7月



表紙イラスト 藤田香さん

いま、私たちはいろんな媒体を通じて、文章を読むことができます。
電子媒体であるブログやホームページは、文字を打ち込んだらすぐにアップできるし、
紙の新聞だって、翌日にはできあがっている。
月刊誌も、早ければ原稿を書いて一週間、遅くとも一ヶ月以内には、
完成した状態で書店に並びます。

ところが、「本」の締め切りは、出版予定日の4~5ヶ月前。
(出版社や本によって違いはありますが、青い鳥文庫はこのくらいなんです)。
4ヶ月? それってずいぶん早いと思いませんか?

でも、その4ヶ月間のあいだ、いい本にするために、
それはそれは多くの人たちの、プロフェッショナルな作業があるんです。
今回は、実際に出版される本の流れを4ヶ月かけて追いかけて、
そのすべてを(!)取材させてもらいました。
あまりに深い世界まで入り込んだので、講談社の企業秘密の雨嵐。
ただ、取材者には守秘義務(得た情報を目的以外に使用しない)があるので、
これはぜんぶ墓場まで、いえ、墓に入るつもりはないので、
天国まで(地獄ではなく、天国に行くつもりでいます)持って行きます!

ストーリー仕立てですが、ノンフィクションです。
書いたことは、99%が真実で、残りの1%、まるまる本当のことを書いてしまうと、
各方面にご迷惑がかかりそうな部分をフィクションにしました。
ゆえに、登場する人物名や、書籍名などは、実際にはない名前になっています。

この本を取材し、原稿を書き上げて思ったことは、
一冊の本には、なんてたくさんの人の、本に対する愛情が注がれているのかということ。
こんなに多くの人のプロの仕事と、真剣な思いがこめられているとなると、
身の引き締まる思いでいっぱいです。

そして、書店さんの取材をさせていただいて衝撃だったのは、
一日のうちに、なんてたくさんの、本当に次から次へと新刊が出されているのかということ。
うむむー。これは本当に、全力投球しないと、
(いままでしていなかったということでは、決してありません!)
勝ち抜けないと、心の底から思いました。

岩貞るみこ、新たなる決意とともに、「本」が大好きな人たちが、
「本」にそそぎつづける愛情ストーリーをお届けします!