東京都にもドクヘリ希望!

京都・祇園で起きた軽自動車の暴走事故。
事故原因やドライバーの病歴については、今後、調査が進むとして、
いつもながら、こうした多数傷病者が出たときの救急対応には考えさせられること多しです。

今回、出動した消防・救急隊は16隊。そして消防ヘリが一機。
(上空をホバリングしていたので記録係りなのか、実際に患者を搬送したのかは不明)。
亡くなった方は、この文章を書いている時点で8名(含ドライバー)。
そして多数の重傷者。
しかし、いちどにこれだけの患者に完璧に対応できる病院は日本にはない。
世界にもないと思う。
一秒を争う重篤な外傷患者の場合、
救命救急を専門とする、外科医、麻酔科医、サポートドクター軍団、
ナースチーム、CT、オペ室……などが、
一瞬にしてタッグを組んで最強パワーを発揮しなければ、患者は救えないからだ。
そんなチームが、いつも3つも4つもある病院なんて、日本には存在しない。

だとしたら、救急隊は患者を分散させる必要がある。
二次救急しかできない近くの病院ではなく、少し離れていても確実に治療できる三次救急の病院へだ。
そんな時間との闘いのとき、最強の武器はヘリである。
京都は消防ヘリはあるけれど、ドクターヘリはいない。
そして、ドクターヘリのないエリアでの欠点は、救急隊がヘリを使いこなしていないことだ。

救急隊が患者に接触する。ヘリを呼ぶ。ヘリが向かってくる。
患者をどこでヘリに託せば、いちばん効率がいいか。
ドクターヘリを使いこなしているエリアでは、消防本部がいつもそのことを考えて場所を選択する。
私の取材していた千葉の、特に使いこなしているエリアでは、ほとんどロスタイムがない。
双方の距離、かかる時間などを瞬時に計算して、
リストにある臨時着陸場(小学校の校庭など)のなかから最適な場所を選択するからだ。
けれど、ドクヘリがないエリアでは、そうしたランデブー・ポイントの選択から迷うことだろう。

私が案じているのは、必ず起きるといわれている、首都直下型地震だ。
多数傷病者が発生したら、いったいどうなるのだろう。
間違いなく、すでに35機になろうとしている全国からドクターヘリが、大勢、飛んできてくれる。
乗っているのは、腕利きのフライトドクター&ナースだ。
運航しているのは、百戦錬磨のパイロットたちである。
けれど、受け入れる東京都は、いったいどうするつもりなのだろう。

阪神淡路大震災のとき、発生当日、ヘリで搬送できた患者はたった一人。
翌日の搬送は、わずかに六人である。
このままでは、あのときと同じことがおきかねない。
ヘリは持っているだけじゃダメで、使いこなさないと意味はない。
そのためには、日常的にヘリを活用しないとダメなのだと思う。

ああ、東京都、大丈夫なのかなあ。
地震で家が揺れだすたびに、そんなこと、考えています。

今日の原稿のお供は、きのう若大将が差し入れてくれた、ホワイトチョコのお菓子!
オレンジピールが練りこんであって、めちゃうまし! ありがとう!