一次情報

韓国でのフェリー事故。
行方不明の方の早い救出と、亡くなられた方のご冥福と、
怪我をされた方の回復を祈るばかりである。

今回の件では、報道の混乱が異常事態だといえる。
デマやニセの情報の裏をとることもなく、まことしやかに伝えられ、
被害者関係者の感情を逆なですると同時に、
一般人までが、無意味な議論を闘わせた。

混乱の一因は、日本の報道機関が、
「二次情報」に翻弄されたということだ。
報道の基本は、「一次情報」である。
自らがその真相に向き合い、直接かかわった人から情報を得、
それを元に分析し伝えていく。

ところが今回は、韓国メディアや、ブログやSNSなどの話を信じ、
そうした「二次」「三次」情報を伝えているのが目に余る。
結局「うそでした」「デマでした」「虚言癖の人の証言」であり、
それこそ、狼少年状態。
いまや、なにを信じていいのか、まったくわからない。

ネットが発達し、一般の人も世界の報道を直接、目にすることができる時代。
報道機関よりも、一般人の情報発信力の方が早い時代。
ゆえに、早く詳報をと思う気持ちは理解できるけれど、
報道の基本を失った報道機関に、存在価値はない。

そんなんだったら、一般の人のSNSさぐっていれば、いいじゃん。

人のふりみて、我がふり直せ。
ジャーナリスト、ノンフィクションという肩書きを背負う身としては、
改めて、現場・現実・現物にこだわりたいと強く思う。
ひとりの人間が見られるものは、ほんの小さな世界であっても、
それは間違いなく「真実」だから。

いま、私にさまざまなことを見せ、伝えてくれる人たちの、
本気と本音を、大切にしていきたいと思います。