外傷メディカルラリー

本日は、トラウマ(外傷)メディカルラリー@日本医科大学千葉北総病院へ!

メディカルラリーとは、医師、看護師、救急隊からなる医療チームが、
救急現場活動や、治療の技術を競い合う競技会のこと(メディカルラリーのサイトから抜粋)。
仮想状況で繰り返し訓練することで、技術もチームワークも磨けますが、
それに競技性をもたせることで、より楽しく、より能動的に学んでいこうというものです。

んで。
今回は、日本外傷学会のオプショナル企画ということで、
研修医+専修医一年目、つまり、医学部を卒業して国家資格をとってから、
三年目までのドクターだけが三人でチームを組むという、全国初の大会です!
ベテランのナースや、百戦錬磨の救急隊員がいないなか、
若手のドクターたちは、自分たちで考え行動しなくては!

さて、どうなる???

P1080608

北は青森から、南は熊本、全国の外傷にとりくむ若手医師が集合です。
三人一組、全16チーム。すでにやる気のオーラがめらめらと!

2

開会式が行われるなか、会場では予行演習が密かに進行中。ん? この方々は??

3

こちらでは、負傷者役を「作成中」。かなりリアルな役作り。
そうです。想定は「熊に襲われた!」です。

大会を支えるのは、千葉県の救命救急を支える救急隊や、医療関係の学生さんたち。
中心となっているのは、北総病院を中心に切磋琢磨する『北総救命会』の方々です。
シナリオを作ったドクターたちも、評価者(採点担当)として駆けつけています。
みなさん、当直明けや、休日を使っての参加。
救急医療の底上げをしたいという熱意が、ひしひしと伝わってきます。

今回のシナリオは5つ。ベテランのドクターたちが考え抜いて作ったもの。
1)災害の多数傷病者=すばやいトリアージ
2)救急車のなかでの活動=救急隊の立場になって行動し共通言語を知る
3)夜間、自分たちしかいない病院に重症患者が=的確な治療開始と上級医への正確な申し送り
4)山中でけが人発生。熊出没中で安全確保はどうする=増えるけが人に対応せよ
5)そうじ道具を持って移動中に、ひき逃げ事故を発見=人間性が問われます

いろんな要素や裏テーマが隠されています!
私は、4)と5)を中心にチェック!(すっかりスタッフ気取り……)
まずは、4)から。

4

血まみれの患者を見つけて、さっそく治療を開始する研修医!
救急隊員役の防護服は、「南会津消防本部」からお借りしたもの。
役作り、徹底しています。

会津では、熊による患者さんがとても多いので、リアル設定です!

5

一方、少し離れたところでは、幼稚園児が腕から血を流している!
そして、呼吸もヘンだ! どうする、研修医!

半狂乱なお母さんも登場します。研修医は「家族への説明」という要素も求められます。

さらに、治療中、熊が! 熊が襲い掛かってきた!
パン! パンパン!
逃げる研修医。響く銃声音。猟友会により熊、射殺(ごめんね、熊)。
研修医の安全は確保されました。治療、続行です。

6

シナリオが続くあいだ、ずっと倒れつづける、エセくまもんと、パチりらっくま。
みんな、本気だ! 本気すぎる! 笑ってはいけない。笑ってはいけない……ぷぷっ。

7

そうこうするうちに、安全確保にあたっていた警察官が、いきなり倒れている!
どうした、警察官! 研修医は、倒れた理由をつきとめ、対応しなければ!

そして、響く「終了ー!」の声。
タイムアップです。やりきった感のあるチーム、ただ、ぼーぜんとするチーム。
さまざまな表情です。

そして、後半は、5)のひき逃げシナリオを拝見しました。
通行人をクルマの下敷きにしたまま、運転手は逃走!
エンジンがかかったままのクルマ、まわりは交通流ががんがん。
研修医はこの状況に、ちゃんと対応できるのか?

8

さっそく掃除用の手袋をつけ、自己の安全を確保する研修医。さすがだ。
しかし……。

エンジンを切らないとか、三角表示板たてないとか、
下敷きの人を救出するためのジャッキアップが使えないとか(多数!)、
さらには、人が下敷きになってるっつーのに、クルマに乗り込む研修医。
おい!

私、モータージャーナリストとしての無力さを痛感しております。
もっと事故時の対応もなんとか伝えていかなければ……。

9

と、そうじゃなかった。メディカルラリーでありました。
ベテランドクターの、厳しいチェックの目が光ります。

治療道具がなにもないまま、研修医たちは自分たちの目と耳と、
身の回りにある掃除道具で、どこまでけが人に対応できるのか?
おおお、そうか、そこまでできるのか。
大変、勉強になりました!

そして思いました。
人は、本当に真剣になると、ものすごいパワーを発揮し、
そして、ものすごいことをするのだと(謎)。

すごく楽しかったです。
参加者のみなさん、スタッフのみなさん、お疲れさまでした!
ラリーのシナリオ解説と、結果発表&表彰は、明日の外傷学会にて!