ドクターヘリ事故

今月8日、神奈川県のドクターヘリが着陸時に態勢をくずして損傷した件。
現在、事故調査委員会がはいって、原因を究明中です。

上空5mは、すでに着陸態勢に入った状況。
以前、機長さんに取材させていただいたところによると、
着陸態勢に入ったときがいちばん緊張するときで、
いろいろな状況変化に対応できるよう、細心の注意をMAXにするのだとか。
とくに厳しいのは、後ろからの風。
そのため、着陸する前には、機長と隣に座る整備士とで、
上空から周囲を確認し、風向きや強さを把握してから着陸態勢に入ります。
もちろん、フライトドクターや、フライトナースも、クルーとして、
後方確認などを行い、障害物がないかなど、きちんと確認します。
でも、雷にあたるくらいの確率で起きる予測不能の突然の突風だけは、どうにもなりません。

原因が明らかになり、事故の再発防止が急がれるところです。

そして、ここでお伝えしたいのは、
フライトドクターとフライトナースに怪我はなく、
地面に着陸したあとは、すみやかに救急車に移り、
治療を開始できているということです。

病院到着まで、ドクターヘリなら7分半のところ、救急車で20分かかり、
最終的に患者さんが亡くなられたことはつらい事実ですが、
患者さんの救命に一番大切な「初期治療開始」は、すみやかに行われていました。
輸液の投与や、昇圧剤、そのほか、医師でなければできない医療行為は、
そのまま救急車で病院に搬送するよりも、ずっと早く開始できています。

亡くなられた患者さんのご冥福をお祈りします。
そして、空の安全を、心から願い、
交通事故を減らす努力を続けたいと思います。

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*写真は、取材中に撮影させていただいた千葉県の北総ドクターヘリのもの。
事故とは一切、関係ありません。また、事故機とは別の種類の機体です。