「世の中への扉シリーズ わたしたちは、いのちの守人 三人の看護師・助産師の現場」(講談社)2014年6月



カバー写真 田丸瑞穂さん

*世の中への扉シリーズは、人、職業、できごとなど、事実だけが持つ感動を伝える、ノンフィクションシリーズ。今回はその中の一冊として、三人の看護師さんを紹介させていただきました。

看護師と聞いて、絶対にはずせないのが私が敬愛してやまない日本医科大学千葉北総病院のフライトナースの方々。

いつも医師ばかりにスポットライトが当たってしまうけれど、辣腕のフライトドクターをもってしても、「うちのフライトナースはすごい! 彼らがいないと、なにもできない!」と言わせるほどの人たち。

ひとりめとして、取材の時期にフライトナース・デビューを果たした、重山香織さんにご登場いただきました。

ふたりめは、「ベイリー、大好き」の取材時に大変お世話になり、そのパワーと意志の強さ、行動力に圧倒され、「どこかで紹介できる機会はないか」と狙っていた方。静岡県立こども病院の「がん化学療法認定看護師」加藤由香さん。改めて話を伺うと、何時間でも話を聞いていたいと思わせるほど魅力的な方でした。

「自分をかわいそうと思うな。思ったらまわりからも、そう思われるだけ」。この言葉は、がんと闘うこどもたちだけでなく、いま学校で生きづらいと感じているこどもや、そのご家族にも伝えたいメッセージです。

三人目は、助産師さんを取材させていただきました。出産は病気ではありません。なので、職場もとても明るい。でも、母子ともに健康に出産を迎えるのは、実はとても大変なことなのです。名古屋市立西部医療センターの産婦人科では、看護師はすべて助産師の資格を持ち、出産前から生んだあとの赤ちゃんの世話の仕方まで、丁寧にサポートしています。

取材させていただいたのは、明るい助産師さんのなかでも、特に明るくて元気な加藤英世さん。その笑顔のそばにいると、私までがんばれそうな気分にさせていただきました。

今回は、シリーズのなかの一冊ということで、初めての「です・ます」文章で書いています。ちょっと資料っぽくなりすぎたかな……という気がしないでもないのですが、こどもたちが、世の中を知るきっかけになってくれたらうれしいです。