AACN研究会

本日は、AACN研究会です。

日本では「ヘルプネット」が有名なACN(事故自動通報システム)。
欧州では2015年10月から法制化が決まり(ただし、諸事情で遅れそうとの情報も?)
日本の対応が問われ始めているところ。

AACN研究会は、ACNの前に、さらにアドバンスドのAが着く。
ACNをさらに進化させ、事故と同時に車内乗員の受傷度を知り、
同時に医師を現地に行かせることで、死者数削減できるシステムを構築中。

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チームJAPAN。ここでも、メーカーや各省庁、研究者、関係各社の枠を超えて、
死者削減へと取り組み中。

私のような文系児童脳は、数字の羅列に「?」が飛び交うばかりですが。
でも、死者数1000人減らすと言っても、
積み重なる数字のひとつひとつには、
名前があり、家族がいて、友人がいる。

大海の一滴、費用対効果の限界等々、いろいろ言われるけれど、
やってみなくちゃわからない。
そして正しい道を進んでいると信じているし。
荒野につくる獣道は、必ずや大動脈になると信じています。

外傷メディカルラリー

本日は、トラウマ(外傷)メディカルラリー@日本医科大学千葉北総病院へ!

メディカルラリーとは、医師、看護師、救急隊からなる医療チームが、
救急現場活動や、治療の技術を競い合う競技会のこと(メディカルラリーのサイトから抜粋)。
仮想状況で繰り返し訓練することで、技術もチームワークも磨けますが、
それに競技性をもたせることで、より楽しく、より能動的に学んでいこうというものです。

んで。
今回は、日本外傷学会のオプショナル企画ということで、
研修医+専修医一年目、つまり、医学部を卒業して国家資格をとってから、
三年目までのドクターだけが三人でチームを組むという、全国初の大会です!
ベテランのナースや、百戦錬磨の救急隊員がいないなか、
若手のドクターたちは、自分たちで考え行動しなくては!

さて、どうなる???

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北は青森から、南は熊本、全国の外傷にとりくむ若手医師が集合です。
三人一組、全16チーム。すでにやる気のオーラがめらめらと!

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開会式が行われるなか、会場では予行演習が密かに進行中。ん? この方々は??

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こちらでは、負傷者役を「作成中」。かなりリアルな役作り。
そうです。想定は「熊に襲われた!」です。

大会を支えるのは、千葉県の救命救急を支える救急隊や、医療関係の学生さんたち。
中心となっているのは、北総病院を中心に切磋琢磨する『北総救命会』の方々です。
シナリオを作ったドクターたちも、評価者(採点担当)として駆けつけています。
みなさん、当直明けや、休日を使っての参加。
救急医療の底上げをしたいという熱意が、ひしひしと伝わってきます。

今回のシナリオは5つ。ベテランのドクターたちが考え抜いて作ったもの。
1)災害の多数傷病者=すばやいトリアージ
2)救急車のなかでの活動=救急隊の立場になって行動し共通言語を知る
3)夜間、自分たちしかいない病院に重症患者が=的確な治療開始と上級医への正確な申し送り
4)山中でけが人発生。熊出没中で安全確保はどうする=増えるけが人に対応せよ
5)そうじ道具を持って移動中に、ひき逃げ事故を発見=人間性が問われます

いろんな要素や裏テーマが隠されています!
私は、4)と5)を中心にチェック!(すっかりスタッフ気取り……)
まずは、4)から。

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血まみれの患者を見つけて、さっそく治療を開始する研修医!
救急隊員役の防護服は、「南会津消防本部」からお借りしたもの。
役作り、徹底しています。

会津では、熊による患者さんがとても多いので、リアル設定です!

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一方、少し離れたところでは、幼稚園児が腕から血を流している!
そして、呼吸もヘンだ! どうする、研修医!

半狂乱なお母さんも登場します。研修医は「家族への説明」という要素も求められます。

さらに、治療中、熊が! 熊が襲い掛かってきた!
パン! パンパン!
逃げる研修医。響く銃声音。猟友会により熊、射殺(ごめんね、熊)。
研修医の安全は確保されました。治療、続行です。

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シナリオが続くあいだ、ずっと倒れつづける、エセくまもんと、パチりらっくま。
みんな、本気だ! 本気すぎる! 笑ってはいけない。笑ってはいけない……ぷぷっ。

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そうこうするうちに、安全確保にあたっていた警察官が、いきなり倒れている!
どうした、警察官! 研修医は、倒れた理由をつきとめ、対応しなければ!

そして、響く「終了ー!」の声。
タイムアップです。やりきった感のあるチーム、ただ、ぼーぜんとするチーム。
さまざまな表情です。

そして、後半は、5)のひき逃げシナリオを拝見しました。
通行人をクルマの下敷きにしたまま、運転手は逃走!
エンジンがかかったままのクルマ、まわりは交通流ががんがん。
研修医はこの状況に、ちゃんと対応できるのか?

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さっそく掃除用の手袋をつけ、自己の安全を確保する研修医。さすがだ。
しかし……。

エンジンを切らないとか、三角表示板たてないとか、
下敷きの人を救出するためのジャッキアップが使えないとか(多数!)、
さらには、人が下敷きになってるっつーのに、クルマに乗り込む研修医。
おい!

私、モータージャーナリストとしての無力さを痛感しております。
もっと事故時の対応もなんとか伝えていかなければ……。

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と、そうじゃなかった。メディカルラリーでありました。
ベテランドクターの、厳しいチェックの目が光ります。

治療道具がなにもないまま、研修医たちは自分たちの目と耳と、
身の回りにある掃除道具で、どこまでけが人に対応できるのか?
おおお、そうか、そこまでできるのか。
大変、勉強になりました!

そして思いました。
人は、本当に真剣になると、ものすごいパワーを発揮し、
そして、ものすごいことをするのだと(謎)。

すごく楽しかったです。
参加者のみなさん、スタッフのみなさん、お疲れさまでした!
ラリーのシナリオ解説と、結果発表&表彰は、明日の外傷学会にて!

日本交通科学学会

昨日は、思いのほか心昂ぶらせてしまったけれど、
本ちゃんはこちら。
日本交通科学学会です。
医学と工学が連携した学会はここだけ。
交通事故を減らし、被害を軽減するためのヒントがここに。

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日曜日だっていうのに朝8時30分から、夕方18時近くまで、
休憩なしのノンストップ!

当然、トイレタイムもありません。
勉強させていただきましたー。
今日、いちばんの驚きは、東京都市大学を中心とするメンバーが報告した、
「軽自動車における側面衝突事故再現解析」。

側面衝突の場合、ぶつかった側の乗員の被害が大きいものだけれど、
軽自動車の場合、遠い位置にいる人の被害が大きくなる。
それをCAE解析(コンピュータ上でアニメみたいに動くやつ=こんな説明ですみません・汗)し、
おおお、こういうことか! と納得させていただきました。

そしてわかったことは……。
スポーツカーってそうなんだ……。
この解説はまた後日!

千葉エマルゴ補足

金曜日の千葉エマルゴ。
この訓練の特徴は、病院スタッフも参加していること。

東京消防庁でも、大規模災害を想定した訓練をしているけれど、
本村先生のエマルゴの場合、
有志が(休暇でくる)
有料で(自費で参加。今回は運営費、保険料など5000円)
参加するのが大きなちがい。

そしてもうひとつ。病院も参加していること。
つまり、消防は、どの病院に、どの患者を、どうやって、何人運ぶかも
ぜんぶコントロールしなければならず、
病院側も消防の連絡で初めて
1)大事故が起きた
2)患者が押し寄せる
3)ベッドコントロールをする(ICUや手術室を使えるように)
4)医師や看護師に準備させる
という動きになるわけです。

有志なので、本来の立場と違う役割を担うこともあり、
そのあたりは、差し引いて評価しなくちゃだけど、
こういう訓練を繰り返し、カラダを使って覚えることで、
現実の事故対応へとつながるわけです。

そして、これを運営している人たちも、
みんな実際の消防隊員や、医師、看護師のみなさん。
もちろん、ボランティアです。
こういう人たちに、私たちの安全は支えられているわけで。
でも、やはり「公助」だけに頼らす
私たちはいざというときに備えて、「共助」「自助」もしっかりやらないとね。