ユッケ問題とチャイルドシート

朝から原稿書き。あまりにも原稿が進まなくて、眉間にシワが寄るばかり(=つまり、不機嫌)。
そんななか、ニュースサイトをのぞいてみたら、
ここ数日の、ユッケ問題が、チャイルドシート問題と、だぶって見えて見えて仕方ないんですけれど。

なぜ、死ななければならなかったの?
そんなに危険なものだったの?
原因はどこにある?
国はなぜ、基準も罰則も策定していない?

車内での子どもの死者数は、年間30人を越えている。
とんでもない数だと思う。
もちろん、全員が全員、ジュニアシートやチャイルドシートで救われたとは思わない。
でも、ハインリッヒの法則からすれば、
一人の子どもが亡くなった影には、その29倍の重傷者がいて、300倍の軽症者がいる。
ヒヤリハットにしてみたら、いったいどれだけの数よ? 
だけど、一部の人に言わせると、
「高齢者の死傷者数に比べると微々たるもので、費用対効果が望めないから、対策はむずかしい」
んだそうだ。

なんだよ、それ。
たしかにね、私も、よく聞かれます。
「対策をしたら、いったいどのくらいの費用効果が望めるのか」、と。

ちょっと待った。費用対効果なのか?
数字でクリアに出ないと、やらなくてもいい話なのか?
経済効率優先で、決めていい話なのか?
日本全国、いつから経済学者になったんだよ!

先日の会議に出ていた検討委員の一人から、メールをいただいた。
ジュニアシートの効果は、データで証明されていないので、
計画案に盛り込むのはむずかしいと。

ちょっと待った。データがない>だからやらない>いつまでたってもデータがとれない。
じゃ、いつから始めるんでしょうね。
チャイルドシートが義務化されたときだって、日本にはデータなんてなかったでしょうに。
あれから10年もたつのに、いまだなんのデータもない方が、恥ずべきことだと思いますが、
どうなんでしょう、自動車工業会、国土交通省、警察庁のみなさん。

妊婦さんのシートベルトについては、
獨協医科大学のH先生たちが、運転の教則を変えるだけのデータを集めてきたというのに、
税金払わず、選挙権なく、数が少ない子どもについては、どうでもいいと思われそうな、この現状。
経済学者にはとうていなれない、数字に弱い私には、
死者数が少ないから、データがないから、手の出しようがありません、って言う、
その考え方が、どうしても理解できません。

ISO-FIXチャイルドシートの可能性

午前中に所用をすませ、一度もどって原稿書き。
仕切りなおして出かけた先は、ブリヂストンの今年の体制発表と、
ゼロクラッシュ・ジャパンのシンポジウムです。

ゼロクラ・ジャパンは、ジャーナリストの面々が立ち上げたチーム。
交通事故ゼロを目指しての活動です。

トークセッションでは、発起人のひとり、清水和夫さんが、面白い発言を。
「ISO-FIXは、ユーザーに受け入れられていない」
そうです。そうなんです。
先日、見た審議会の資料に、なんか違和感があって、どうしたものかと思っていたけれど、
つまりは、そういうことなんですよ。 ←審議会メンバーのくせに、早く気づけ、自分!

ISO-FIXタイプのチャイルドシートは、ひとつの車種の専用になっているわけで。
それにより、いろんな弊害が起きて、まったくユーザー・フレンドリーじゃないのです。

1)ディーラーでしか買えない
クルマとのマッチングがあるので、赤○ゃん本舗や、オート○ックスなどでは売っていません。

2)そのディーラーが理解していない
以前、刺客を使って(Yさん、ありがとうございます!)調査したところ、
ISO-FIXの存在すら知らないわ、用意したと思ったら、使い方を理解せずに売ろうとするわで、
とんでもない状況が判明。
国産メーカーのかなり立派な都内ディーラーでしたが。むむむ……。

3)クルマ買い換えで使えなくなったり、ほかのクルマに載せかえたりができない
クルマ変えたら、CRSも買いなおしって、有り得なくないっすか?
でもって、地方都市にいけば、一家に2台以上は当たり前。
平日、ママのクルマに載せていたCRSを、週末はパパの大きなクルマに載せかえて外出、ってのは、
地方都市のノーマルな姿だと思うんですが、ISO-FIXだと、それができないんですね。
そりゃ、普及もしないでしょうよ。

以上の理由で、車内の子どもの安全対策の核に、
ISO-FIXをすえるのは、反対です! っていうか、それってまさに絵に描いた餅状態。
ご一考ください。委員長&事務局のみなさん!

そんなこんなを思いつつ、でも、今日の私は気もそぞろ。
なんたって今日は、愛しの姪の大学受験合格発表日。
携帯電話にぎりしめ、連絡を待ちつづけたわけでして。ああ、自分のときより心臓に悪い。
そして! 見事、合格ですー! 
目標を見つけて努力し、結果を出したわが姪を、まずは褒めてあげたいですー。おめでとう!
Kちゃん、あのときのちびっこが、春からは大学生だよ。早いね~=私信。

日本自動車会議所

午前中に、インタビューをひとつ受け、
そのあと、バリキャリな友人Y嬢とランチへ行き、近況報告&情報交換。
こういう時代だからこそ、女子の柔軟性が発揮できるとき。
しっかし私のまわりの女子軍団は、信じられないくらいパワフル。
これでみんな「母」っていうんだから、本当にすごいです!

午後は、場所を移し、こちらにお邪魔しました。

自工会、自販連、自動車連盟……などなどが入っているビルです。

日本自動車会議所さんにお招きいただき、
「小児救急と交通事故」をテーマに、講演をさせていただきました。
(鼻水はおかげさまで、止まりました。ご心配いただき、ありがとうございます、Fさん!)

日本医科大学千葉北総病院でドクターヘリの取材をはじめたころ、
「ドクターヘリと小児救急」というテーマで、救急医であり小児科医でもあるT先生のご講演を聞きに行き、
小児=内因性、救命救急=大人向け。
つまり、子どもの外傷に対応できる救命救急体制は、日本ではほとんどない。

という趣旨の話を伺って、ぶっ飛んだ記憶があります。
その後、調べれば調べるほど、子どもたちの救急医療体制の不完全さが目に付き、
ゆえに、子どもは絶対に、ケガさせちゃいけない! と、強く感じるようになりました。

医療ジャーナリストではないので、今日の講演で述べたことは、
あくまでも、私の取材の範囲での意見です。
ゆえに、最終的にお伝えしたいことは、小児救急病院を作れ!ではないので、お間違えなく!

年間、4000人以上がまだ亡くなっているいまの日本で、
その一人ひとりには、人生があり、家族があり、友人がいるわけです。
交通事故死は、そのすべてを一瞬のうちに奪い去ることを、もう一度、かみ締めて、
クルマ社会における、子どもたちの安全対策を、しっかりと考えていきたいと思います。

お集まりいただいたみなさん、ありがとうございます。
そして今回、こういう機会をくださった、日本自動車会議所のみなさん、ありがとうございました!

知恵と工夫

本日は、クルマ取材。
ボルボのS60試乗会です。

S60。最近のボルボは顔立ちに色気が出てきて、すごくいい感じ。

ボルボは、衝突軽減のシティ・セーフティに加え、
今回、カメラなどを使って人を検知する、ヒューマン・セーフティを追加。
人と判断したら、ぎゅぎゅっとブレーキがかかります。
ブレーキの前に、思いっきり赤色ランプと音で警報が出るので、
それだけで、どきどきしちゃう感じ。ものすごく有効なシステム!

ついでに、シートベルトがやけに、装着しやすいなーと思ったら……。

バックルが、このように、角度を持った厚みがつけられていました。
これのおかげで、凹側にかけやすいのです。

一時期、声のでかいデブおやじに負けたニッ○ンが、やたら凹側のステイ部分をのばし、
痩せ型女性が危機的状況になるのでは? というシートベルトを量産していたけれど、
(その後、改善され、凹側ステイが縮んでいきました。現行モデルは、そんなことはありません)
そんな、短絡的なデブ対策ではなく、
こうしたボルボの、だれにでもやさしいバリアフリー設計こそ、技術者の腕の見せ所では?
がんばれ、日本の技術者!
ちなみに輸入車は、後席ヘッドレストも「使わないと座っていられない」設計が増えてきて、
これだよなあ、と思っています。

終了後は、別件取材へ。
途中、オアシスちゃんと、スイーツタイムがあるという、恵まれた取材環境……ありがたや~。
Sさん、ごちそうさまでした!