田園調布死傷事故

26日(日)の夜、起こった田園調布の中原街道での事故。
また、幼い子どもが犠牲になり、ご遺族ご友人の気持ちを思うと言葉がありません。
今日、事故現場に行ってきました。

命が奪われた現場ということもあり、カメラを状況説明に適したアングルに向けられません。
報道カメラマンにはなれないと感じた次第。

これは中原街道をわたるように写した横断歩道。
現場は二車線。事故車両はセンター寄りの車線を、写真の右から左へと暴走。
この横断歩道を通過するときは、アタマを手前にし、ほぼ真横状態でスライドして左ナナメ手前に移動し、
歩道に横向きのまま乗り上げたと思われます。

同乗者の証言によると、
「遅いクルマを追い抜くために、センター寄りの車線から、左の車線に移動し、
抜いたあと、センター寄りの車線にもどったら、挙動がおかしくなった」とのこと。
いわゆる、ダブルレーンチェンジによる、揺れ返しでスピン状態になったという仮説が考えられます。

ダブルレーンチェンジは、右>左(もしくはその逆)とハンドル操作し、連続して二回、車線変更を行うこと。
連続して行うと、一回目はいいものの、二回目は遠心力が強く出て、くるり! と、スピンしやすくなります。
私が運転のインストラクターをしていたときの設定コースは、速度設定が時速80km。
(車種や路面状況に応じて、設定速度を変えます)
ちょっと乱暴なくらいのハンドル操作ではあるものの、本当に、簡単にスピンします。
今回の事故は、タイヤの空気圧や磨耗状況は不明ながら、
少なくとも、あの冷え込んだ日の21時45分といえば、相当寒くて路面温度も低く、
しかも乗員が3名以上(何人かは不明。負傷者数から想像)で車両が重くなっていれば、
もっと低い速度でも、スピンする可能性は否めないと思います。

横滑り防止装置(ESC。メーカーによっては、VSC、ESPなどと表記)があったかどうか不明ですが、
事故の状況からすると、装着されていなかったのではと想像しています。
2012年10月には義務化すると、先日、国交省から発表されましたが、
義務化以前に、各メーカーには、この事故を重く受け止め、対応していただきたいと感じています。
欧州メーカーに比べ、国産メーカーは、装着率が異常に低いですし。

運転者に対して言いたいことは山ほどありますが、それは警察にお任せするとして。
亡くなった方のご冥福と、ケガをされた方の一日も早いご回復をお祈りします。

国交省自動車安全シンポジウム

国交省自動車交通局が主催した、自動車安全シンポジウム。
パネルディスカッションに参加させていただいてきました。

年に一度、安全技術の方向性を問うシンポ。今年のメインテーマは死者数激増の高齢者。
せっかく作ったPPTが、うまく表示できず、ちょっと残念。

ドライブレコーダーや、路面設置機材で収録された、高齢者の動きは衝撃的!
これで「事故のないクルマを」と言われても、いや、それはちょっと無理があるような……。

でも、お金がないとか、なんとかがないと、言っている場合ではないような。
お金がなければ、人が動くしかないわけで。
知恵を出して、行動していかないと、100年たっても、なにもかわらないわけで。
やらない言い訳は星の数。まず、動こうと言いたいです(だれに? 原稿が進まない自分に……ああ、現実がー)。

本日も勉強させていただきました。
みなさま、ありがとうございました。
そして、進行のMさま……Nスペ、期待しております!

ドクターヘリの安全を考える

早起きをして原稿を書き、集中力が切れたところで、
HEM-Net 主催の、シンポジウムへ。

理事長は元警察庁長官の國松孝次さんです。

防災ヘリ、海保ヘリ、民間ヘリ、個人ヘリと、今年はヘリの事故が多発。
飛行中に作業する機会の多いこれらのヘリに比べ、ドクターヘリは飛行中の業務はないものの、
それでも、一度も降りたことのない、周囲のどこに電線があるかわからない場所に離着陸するため、
安全の確保は急務。

機長が操縦に集中できるため、同乗する医療クルー、地上のCS、消防隊の対応はもとより、
機体の整備やヘリポートの充実など、課題山積です。
運航クルーも医療クルーも、こうしたトレーニングは自費で休みの日に行っていることも多く、
正義感と熱意だけに頼るには限界があるわけで。

しかし、こうした操縦中のミスについての論理は、クルマのドライバーにつながること多し。
基調講演は、医学博士の柿本由紀子先生でしたが、
「注意せよ、という精神論だけでは、限界がある。
周知徹底ってみんな大好きだけれど、そんなものは通用しない!」(言葉尻うろおぼえ) と、ばっさり!
すばらしい! そのとおりだと思います!

運航会社の整備士の方がおっしゃった、
「ヒューマンエラーは、結果であり、原因ではない。」という言葉にも、至極納得。
ヒューマンエラーを引き起こす、クルマ作り、街づくり、道作り。
こうしたものを解決しなければ、交通事故だってゼロにはならないのです。
「標識さえ見ていれば、事故は起こらない」と、某検討会で言い切った、某関係者に突きつけたい気分。

ついでに。ヒューマンエラーを起こす、
腹部損傷をさせるようなシートベルトも、同じだと思いますよー。

終了後は、補習=しかし、楽しい。今日もめいっぱい。