勉強会その2

原稿書いて、午後はラジオの収録。
夜は、子どもの安全についてお詳しいI氏に、勉強させていただきました!
ありがとうございます! また、ぜひお願いします=私信。

0歳~4歳までの子どもたちの救命率は、先進15カ国中、13位という日本。
医療先進国と言われるけれど、小児救急は壊滅的な状態とも言えるかも。
だから、子どもをケガさせちゃやばいって言い続けているのに、
相変わらず、チャイルドシートの装着率は上がらないし、
その事実を、自動車メーカーは、ほとんど見てみぬふりだし。

ぞっとするのは、ケガをした子どもたちが、どうなっているのか、わからないという事実。
三次救命救急センターには、重篤な子どもたちが運ばれてくるけれど、
ハインリッヒの法則でいけば、その29倍の子どもたちがなんらかの怪我をし、
300倍の子どもたちが、ヒヤリハットを体験している。
でも、29倍の子どもたちの状況は、だれもまとめていないし、
ヒヤリハットに至っては、子どもたちからどう情報収集するのか、その術すらない。
事実がわからないのと、事故が起こっていないのは、決して「イコール」ではない。
だけど、いまの自動車業界の動きを見ていると、「イコール」で結ぼうとしているようにすらみえるのだ。

子どものダミー人形を作るのが、むずかしいのはわかる。
だったら、現実社会から、症例を拾い上げていく作業をするべきではないのか。
少子化対策というけれど、産ませるためと、育てるための環境のほかに、
死なせないための環境づくりを、もっとするべきではないんだろうか。

【提案】
病院レベルでの、情報提供もいいけれど、
子どもの事故情報に関しては、救急隊の協力をあおぐのが、近道かと思われ。
第九次交通安全基本計画に、医学工学連携を盛り込むべきで、
厚労省との連携は欠かせないけれど、総務省の協力も、ぜひ、あおげないものかと、思っています。
どうでしょう、新室長?

睡眠時無呼吸症候群

金曜日、国際交通安全学会で、
愛媛大学大学院で、健康医学がご専門の、谷川武先生にお会いしました。
私が講演のなかで、
「高血圧などにより、意識障害が起きて事故を起こすケースが非常に多い(獨協医科大学の一杉先生のデータより)」と述べたところ、

「睡眠時無呼吸症候群も、切実な問題なんですよ」と、お声掛けいただいたのでした。

高血圧ならある程度、自分で知ることはできるけれど、
睡眠時無呼吸症候群は、なんたって眠っちゃっているんだから、知ることができない。
でも、睡眠不足で運転中に、ふっと眠りに落ちるわけで。

大型トラックのドライバーなど、衝突エネルギーの大きいものを動かしている場合、特に早急な対応が急がれる問題でしょう。
ところが、谷川先生によると、
厚生労働省に訴えると、「国交省だ」と言い、国交省に頼むと、「まず厚労省でしょう」とのこと。
えーっと、それぞれの省のみなさん、両方だと思うんですけれど。
タテ割らないで、いっしょにやってよー=ココロの声。

私、このところ「医工連携」を訴えていますが、
これって結局、厚労省+国交省が手を組まないと始まらない話。
国交省では最近、「手を組みたい!」という意欲的な動きが確認できていますが、
いかんせん、厚労省は私にとって近づくことさえできない「白い巨塔」なので、ようわかりません。
どうなんでしょう、厚労省。

というかですね。こういう身近な問題こそ、地方自治体単位で動いてみてはどうでしょう?
おっきな組織が動くの待っていても、事故は待ってくれませんもの。
小回りのきく地方自治体で、「交通事故をなくすために、健康管理を!」というキャンペーンをはり、
高血圧や、睡眠時無呼吸症候群のチェックをして、健康改善……なーんて、よさげじゃないですか=自己満足。
そもそも、50歳を越えると、ドライバーの事故件数も、事故による死亡率も、
ぱっかーん!と跳ね上がります(=外傷学会のデータより)。
50代以上の高齢者交通事故対策として、どうでしょう、知事連合の長のみなさま!

愛読書?

救急医療にたずさわるドクターたちが読む、月刊誌「救急医学」
今月号のテーマはずばり「外傷と工学」
入手いたしました。読み応えあります。
特にドクター側からの提言は、衝突安全にたずさわる方々に、ぜひ、読んでいただきたいです!

100528

日本医科大学千葉北総病院の救命救急医の方々からの発信も、もちろんあります!
歯切れのいい書きっぷりに、うっとりです(笑)。
 

以前、救命救急医で心臓外科を専門になさるドクターが、
「たとえ心臓に刃物がささっていたとしても、うまく早く連れてきてくれれば、助けるチャンスはあります。
そのために、ぼくたちがいるんです」と、
言っていたのが、忘れられません。

心臓がやられたら、即・死亡と信じていた私は、
たとえシートベルトの衝撃で心臓破裂をしていても、助かる事例をいくつも目の当たりにし、
救命救急医療のすごさにひれ伏すのでありました。

いま、レクサスやメルセデスなどの車両に搭載されている、
交通事故発生と同時に、緊急指令が行くシステムがもっと多くのクルマに展開され、
ドクターヘリの出動までつながっていくようになれば、
死ななくてもいい人たちを、しっかりと助けられると信じています。

なんてことを考えながら、ぎりぎりまでPCに向かっていたら、
あやうく飛行機に乗り損ねるところでした。今日は西へ。着いた先は、山口県です。

医工連携

日本外傷学会と、自動車技術会、日本自動車研究所、交通事故分析センター、日本損害保険協会の
共催によるシンポジウムです。

100526

来年から始まる「第9次交通安全基本計画」。
死者数削減のために、医学の知見を入れていく時期がきています。

医学からの発表と、工学サイドの発表。全部聞いて思ったのは、

カラダの小さい人は車内でケガをしやすい。

小さいクルマは生存空間を保つために、キャビンが硬く、衝突のときにクルマの後部が上がる。

背の低い人は、シートリフターで、座面が前方向にナナメになりやすい

ひらひらのナイロンスカートは、すべりやすい

エアバッグでアタマを押さえられるので、衝突のときは、シートが滑り台になってシートベルトが腹に食い込む。

つまり!
背の低い女性ほどサブマリン現象がおきて、危険な車内ってことじゃないですか。
同じ女性として、これは見逃せません。

しかも、医学からの発表では、あれだけサブマリンによるシートベルト損傷を言っているのに、
工学からの発表では、衝突実験も、ダミー人形の実験も、
ぜんぶ「正しいドライビングポジションで、正しくシートベルトとエアバッグが作動したとき」。
これってヘンだと思うのは、私だけ?

どういう条件なら、サブマリンしやすいのか。
そのうえで、サブマリンしにくいクルマを作るべき。
同時に、サブマリンしやすい条件がわかったなら、
それをユーザーに、ちゃんと伝えていくべき。

今回の医学~工学連携のシンポを聞いていて一番、思ったのは、
両者の距離があまりにも遠いこと。
アタマ悪いし、知識も浅いけれど、少なくとも両方見させていただいている私が思うのは、

もっと両者が寄り添えば、もっと有効なデータの取り方があるし、同じデータでも、もっと有効に分析できるのに。

今回のシンポが、両者の距離が近くなるためのキックオフ・パーティだとすれば、
ぜひ、双方、歩み寄っていただきたいと思います。