日本外傷学会・学術集会

日本外傷学会の学術集会です。
抄録をぱらぱらとめくると、「道路横断中に乗用車にはねられ」とか「乗用車の後部座席で衝突」など、
交通外傷による事故がたくさんあるけれど、
実際、会場で話を聞いてみると……ぐっ、わ、わかりません。

救急学会だと、なんとな~く、ほうほう、ここがこうしてケガをして……とわかるものの、
外傷学会になると、その後の治療方法を中心に論じられるため(当たり前)、
シロウトのついていける世界ではないのでしたー。

でも、今回のテーマは医工連携ということもあり、
教育講演やパネルディスカッションによっては、クルマの安全について語られ、
医療関係者のみなさんの、お忙しい時間をさいてのデータ収集に、アタマが下がるのでした。

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臨床的には、男性より女性のほうが同じケガでも、強いんだそうな。やはり女は強いのかー。

医工連携は、今後の交通事故削減に欠かせないテーマだけれど、
そもそもドクターは、傷ついた目の前の患者を助けることが使命。
だとしたら、歩み寄るべきは、クルマづくりが仕事の工学だと思います。
「デルタV」も知らないのか、と、工学の常識をふりかざしている場合ではないでしょーに。
(私も知りませんでした。すいません、無知で~)

今日一日の感想は、いったいどれだけの大切な命のうえに、
いまのクルマの安全技術が成り立っているのかということ。
日本自動車研究所のO氏のビデオや、佐賀大学のS先生のスライドは、目を覆いたくなるほどのもので、
思わず会場で泣きそうになりました。
これほどの犠牲の上で作り上げた安全装置、正しく使っていかなければ、
彼らは無駄死にだと思いました。

思い新たに、気を引き締めていこうと思います。

*K先生、話できなくてすみませんー。いつでもメールでどうぞ~(笑)=私信。

医工連携

日本外傷学会と、自動車技術会、日本自動車研究所、交通事故分析センター、日本損害保険協会の
共催によるシンポジウムです。

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来年から始まる「第9次交通安全基本計画」。
死者数削減のために、医学の知見を入れていく時期がきています。

医学からの発表と、工学サイドの発表。全部聞いて思ったのは、

カラダの小さい人は車内でケガをしやすい。

小さいクルマは生存空間を保つために、キャビンが硬く、衝突のときにクルマの後部が上がる。

背の低い人は、シートリフターで、座面が前方向にナナメになりやすい

ひらひらのナイロンスカートは、すべりやすい

エアバッグでアタマを押さえられるので、衝突のときは、シートが滑り台になってシートベルトが腹に食い込む。

つまり!
背の低い女性ほどサブマリン現象がおきて、危険な車内ってことじゃないですか。
同じ女性として、これは見逃せません。

しかも、医学からの発表では、あれだけサブマリンによるシートベルト損傷を言っているのに、
工学からの発表では、衝突実験も、ダミー人形の実験も、
ぜんぶ「正しいドライビングポジションで、正しくシートベルトとエアバッグが作動したとき」。
これってヘンだと思うのは、私だけ?

どういう条件なら、サブマリンしやすいのか。
そのうえで、サブマリンしにくいクルマを作るべき。
同時に、サブマリンしやすい条件がわかったなら、
それをユーザーに、ちゃんと伝えていくべき。

今回の医学~工学連携のシンポを聞いていて一番、思ったのは、
両者の距離があまりにも遠いこと。
アタマ悪いし、知識も浅いけれど、少なくとも両方見させていただいている私が思うのは、

もっと両者が寄り添えば、もっと有効なデータの取り方があるし、同じデータでも、もっと有効に分析できるのに。

今回のシンポが、両者の距離が近くなるためのキックオフ・パーティだとすれば、
ぜひ、双方、歩み寄っていただきたいと思います。

新入り

黄金週間に大量のブツを手放し(押し付けたみなさん、すみませんー)、
アタマも部屋もすっきりしたところで、必要なものを購入しました。

それは目覚まし時計。

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蛍光塗料が長針+短針につき、夜中に目が覚めても時間がわかります。
いまは、コチコチ音もしないんですねー。

いままで使っていた電波時計は、夜中に時間を知るべく、ライトスイッチを押すと、ピーッと、小さな音がします。
それが気になるんですよ。
いえね、ピーッって音、めっちゃ小さいです。でも、夜中ってしーんとしているので、気になるわけです。
特に明け方は、気温が下がるから(?)音が伝わりやすく、思いのほか大きい音に、いらっときます。

音ってむずかしいですね。
そんなこんなで、ハイブリッドや電気自動車につける音。
各自動車メーカーがブラッシュアップしての試乗(試音)会が行われたようで。
まわりがうるさければ、聞こえない。
でも、静かなところや時間帯だと、うるさく聞こえる。
全員に満足のいく音質や音量は、有り得ないので、むずかしい問題ですね、

原稿書き~ラジオの収録~出張の手配をして、目覚まし時計を買って、夜は人生の戦略会議=なんだそれ?

効果評価

安全技術の効果評価は、

「それを装着することで、何人死者を減らせたか」

が、目標値になっています。なんでかっていうと、
小泉首相時代につくった、第八次交通安全基本計画が、

「2010年までに、死者を5500人以下にするぞ!」

と、宣言したから。10年間で死者数を半分以下。
人・道・クルマで3分の1ずつなら、クルマで1200人の死者数を減らしましょうってのが、
立ち上がったときの「安全基準検討会」の目標でした。
これ、当時の国交省(運輸省)では画期的なことだったそうですよ。
なんたって「数字」を明確に言ってしまったもんだから、達成できなければ誰が責任とるんだって。

あれから10年。着実に死者数は減っています。
まあ、不景気でクルマが走らなくなったり、若者のクルマ離れで暴走が減っているのも大きな理由なんですけれど。
(事故率はむしろ増えているという統計もあり)。

だけど、私、思うのです。あれから10年。だいぶ世の中も変わってきて、
これからも「死者数」だけ追うのでいいんだろうかって。
だって、あれほど自動車メーカーが開発費をかけて、歩行者保護ボディを作ったって、
年間、防ぎえる死として算出されたのは、わずかに 6人
これには、自工会も言葉を失っていましたですよ。

でもね。
たとえ亡くならなくても、入院日数が長くなったり、後遺症が残ったり、というのは、本当につらいもの。
歩行者保護ボディは、減ったのは6人とはいえ、傷害軽減はもんのすごくあると思うのです。
そのあたり、しっかり出していかないと、メーカーのやる気も、ユーザーの安心感も、出ないと思うのです。

なーんてことを思いながら、結局、原稿書いて過ごした土曜日。